前足に顔をうずめ、おでこを床につけるようにして眠る姿は、頭を下げて謝っているように見えます。そこから、この寝方は「ごめん寝」と呼ばれるようになりました。
もちろん、猫が本当に謝っているわけではありません。顔を隠す寝方には、眠りやすさに関わる理由がいくつか考えられています。
ただ、具合が悪いときに頭を低くしてうずくまる姿勢は、ぱっと見ただけではごめん寝と区別しにくいことがあります。この記事では、似た姿勢と並べて比べながら、見分け方を整理しました。
先に確認を。ごめん寝に見えても、すぐ動物病院へ連絡したいとき
次のような様子があるときは、寝姿の意味を考えるより先に、動物病院へ電話で相談してください。夜間であれば、救急に対応している動物病院を探しましょう。
- 口を開けて息をしている
- お腹を大きく動かして、苦しそうに呼吸している
- 呼びかけても反応が鈍く、ぐったりしている
- 後ろ足を引きずる、立てない、触ると強く痛がる
- 壁や家具に頭を押しつけたまま動かない
頭を押しつける行動は「ヘッドプレッシング」と呼ばれ、脳や肝臓の病気、中毒などが背景にあることがあります。獣医師が執筆した解説でも、緊急の可能性があるとして早めの受診がすすめられています。
穏やかに眠っているだけなら、急ぐ必要はありません。ここからは、ふだんのごめん寝の理由と見分け方を見ていきます。
顔を隠して眠るのは、どんなときか
部屋の明かりや日差しがまぶしい
獣医師の藤井康一さんは著書の中で、ごめん寝の理由を「まぶしいから」と説明しています。猫の目は光をとらえる力が強く、まぶたを閉じていても明るさを感じてしまうためです。
日中の窓辺や、照明をつけたままのリビングで見かけることが多いなら、前足で光をさえぎっているのかもしれません。
少し肌寒くて、体を小さくしている
体を丸めて眠る、手足を体の下にしまうといった寝相は、寒いときのサインとして動物病院も紹介しています。体を小さくまとめて、熱を逃がしにくくしているわけです。
ごめん寝も、体を丸めて顔を内側に向ける寝方のひとつです。朝晩が冷え込む季節になって増えてきたら、室温が下がりすぎていないか見直してみてください。
名前ほど深い意味はないことも
寝相には、その猫なりの好みもあります。明るさや温度に心当たりがなく、起きたあとの様子もいつもどおりなら、単に落ち着く姿勢なのでしょう。
ごめん寝・うずくまり・頭の押しつけを並べて比べる
頭が下がっている、目を閉じている。この2点だけを見ると、3つの姿勢はよく似ています。
違いが出やすいのは、体の力の抜け方と、声をかけたときの反応です。
| 見るところ | ごめん寝(眠っている) | 痛みや不調でうずくまる | 頭を押しつける |
|---|---|---|---|
| 体の様子 | 丸くなって力が抜け、呼吸はゆっくり | 体勢を低くして、じっと固まっている | 壁や家具に頭を当て、押しつけたまま動かない |
| 顔つき | まぶたが自然に閉じている | 目を細める、耳が横や後ろに倒れる、口元がこわばる | 周りへの関心が薄く、ぼんやりしている |
| 声をかけたとき | 耳が動く、伸びをして起きる | 起きていても動こうとしない、触られるのを嫌がる | 反応が鈍い、同じ場所をうろうろ歩く、ぐるぐる回る |
| ほかに見られること | 起きたあとはいつもどおり過ごす | 呼吸が速いことがある | ふらつく、見えにくそう、発作が起きることも |
| 相談の目安 | 様子を見てよい | 早めに動物病院へ相談 | すぐ動物病院へ |
痛みのある顔つきの見方は、モントリオール大学が獣医療向けに公開している「猫の痛みの表情スケール」を参考にしました。
このスケールでは、耳が外側に開く、目を細める、口元がこわばる、ヒゲがまっすぐ前を向く、頭が肩より下がる、という5つの点を見ます。
猫は本能的に痛みを隠す動物だといわれます。表のどれに当てはまるかを決めきれなくても、「いつもの寝起きと違う」と感じたら、それ自体が相談するきっかけになります。
寝息を数えると、見分ける手がかりが増える
眠っているときの呼吸数も、見分けに役立つ数字です。動物病院の案内では、ぐっすり眠っているときの呼吸は1分間に30回未満がひとつの目安とされています。
- 夢を見てぴくぴく動いているときや、寝入りばなを避け、深く眠っているときを選ぶ
- 胸やお腹がふくらんでしぼむまでを、1回と数える
- スマートフォンのタイマーで30秒数え、2倍にする
- 日付と回数をメモしておく
ごめん寝は顔が隠れているので、鼻先よりも、背中からわき腹にかけての上下を見るほうが数えやすいはずです。触ると起きてしまうため、少し離れた位置から見守りましょう。
涼しく静かな場所で休んでいるのに、30回を超える日が続くときは動物病院に相談してください。
元気なうちに何度か測っておくと、その猫の「ふだんの数」がわかります。変化に早く気づけるので、受診のときに伝える材料にもなります。
ごめん寝をしていたら、起こさずにできる見直し
ごめん寝そのものは、やめさせる必要のない寝方です。起こしたり、写真のフラッシュを当てたりせず、眠りやすい環境を整えるほうに目を向けてみましょう。
明るさをやわらげる
日中によく眠る場所が窓辺なら、レースカーテンを引くだけでも光はやわらぎます。
夜にリビングで眠ることが多い猫なら、寝床を照明の真下から外し、壁ぎわや棚の陰へ少しずらしてみてください。
寝相を室温の目安にする
寝相は、室温がその猫に合っているかを知る手がかりにもなります。横向きでゆったり体を伸ばして眠っていれば、快適に過ごせているサインです。
丸まる寝方ばかりなら、ブランケットや、もぐりこめるドーム型のベッドを足してみましょう。ヒーターを使うときは、低温やけどを防ぐために、暑くなったら離れられる場所を必ず残しておきます。
寝床を100均の品でそろえるときの注意点は、100均で猫ベッドを用意する手順にまとめています。
寝る前にそばへ来て甘える猫との過ごし方は、猫が寝る前に急に甘えてくる理由の記事も参考になります。ほかの悩みもまとめて確認したいときは、猫の困った行動の原因と対策から探してみてください。

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