毛布の上や、ひざの上に乗った猫が、前足を左右交互にぎゅっ、ぎゅっと押しつける。あの「ふみふみ」には、どんな意味があるのでしょうか。
多くの場合は、安心してくつろいでいるときのしぐさです。ただし、布をしゃぶりながら続ける、急に回数が変わったといったときは、少し見方を変える必要があります。
この記事では、ふみふみの由来をかんたんに押さえたうえで、飼い主さんが抱きやすい疑問をQ&Aの形でまとめました。
ふみふみの始まりは、子猫がお乳を飲むときの動き
子猫は母猫のお乳を飲むとき、前足でお腹を押します。お乳がよく出るようにするための動きで、ふみふみはその名残だと考えられています。
大人になってもこの動きが残っている猫は多く、のどをゴロゴロ鳴らしながらふみふみしているなら、落ち着いて満ち足りた気分でいるサインと受け取ってよいでしょう。
眠る前に寝床をふみふみする猫もいます。野生では、草などをならして休む場所を整えていたと考えられており、その習性につながる動きとも言われます。
もうひとつは「におい」です。猫の肉球のあいだにはにおいを出す腺があり、押した場所に自分のにおいを残していると考えられています。
人の体の上でふみふみするのは、安心できる相手だと感じているからだと説明されることが多い行動です。
布をしゃぶりながら続けるときは、飲み込みに注意
ふみふみしながら毛布をくわえ、ちゅうちゅうと吸うようにする猫もいます。少しくわえる程度なら子猫のころの名残とされますが、布を噛みちぎったり、食べてしまったりするなら、話は別です。
布やウールをしゃぶり、ときに飲み込んでしまう行動は「ウールサッキング」と呼ばれます。飲み込んだ布が胃や腸に詰まると、手術が必要になることもあります。
布やひもを飲み込んだかもしれないとき、次のような様子があれば、様子を見ずにすぐ動物病院へ連絡してください。
- 吐こうとしているのに何も出ない、吐くことが続く
- ごはんを食べない、元気がなくぐったりしている
- お腹を触られるのを嫌がる
- トイレでいきむのに便が少ししか出ない、または出ない
- 口元をしきりに前足でかく
口からひもが見えていても、引っ張って抜かないでください。体の中で引っかかっている場合があり、引くと内臓を傷つけるおそれがあります。
ふみふみについて、よくある疑問に答えます
爪が刺さって痛いときは、やめさせてもいい?
叱ったり、払いのけたりしてやめさせるのはおすすめできません。ふみふみは本能に近い行動で、無理に止めるとストレスになることがあります。
まずは、厚手のブランケットやクッションをひざの上に一枚はさんでみてください。爪が服を通して肌に届きにくくなります。
あわせて、定期的に爪を切っておくと、痛みをやわらげやすくなります。爪切りが苦手な猫なら、寝起きのぼんやりしている時間に1本ずつ、と少しずつ進めるのも一つの方法です。
どうしても今は困るときは、黙ってそっと猫を抱き上げ、隣に置いたブランケットの上に移します。声を荒らげず、移した先でふみふみを始めたら、静かになでてあげましょう。
ふみふみしながら噛んでくるのはどうして?
ふみふみの途中で毛布や服を軽く噛むのも、子猫のころの名残と考えられています。気持ちが高まって、つい口が出てしまうこともあるようです。
人の手を噛んで痛いときは、手を引っ込めて少し離れると、「噛むと楽しい時間が終わる」と伝わりやすくなります。噛み方が日によって急に強くなったなら、体の痛みなどが隠れていないか確かめたいところです。
甘噛みとの向き合い方は、猫が甘噛みする理由とやめてもらう向き合い方でもくわしく取り上げています。
よだれが垂れていても大丈夫?
くつろいでふみふみしているときに、少しよだれが出る猫はいます。食欲も元気も普段どおりなら、心配しすぎなくてよいでしょう。
気にしたいのは、よだれが急に増えた場合です。口の中のトラブル、吐き気、痛みなどが原因のこともあるため、口臭や食べ方の変化とあわせて動物病院で相談してください。
ふみふみしない猫は、なついていないの?
そうとは限りません。ふみふみの回数には個体差があり、ほとんどしない猫もいます。
しない猫も、そばに来て眠る、体をすり寄せるなど、別の形で安心を見せていることがあります。ふみふみの有無だけで、関係のよしあしを決める必要はありません。
急に増えた、または急にしなくなったときは?
引っ越しや家族の変化、来客の多い時期などのあとに急にふみふみが増えたなら、落ち着かない気持ちを自分でなだめているのかもしれません。
反対に、いつもしていた猫がしなくなったときは、ほかの変化がないかを見てください。食欲や元気がない、歩き方が変わった、触られるのを嫌がる、といった様子があれば、痛みや不調が隠れている可能性があります。
去勢したオス猫が、後ろ足でもふみふみするのは?
前足のふみふみに加えて、後ろ足を踏み鳴らしたり、腰を動かしたりする猫もいます。去勢したオス猫でこうした動きが続くときは、一度動物病院で相談しておくと安心です。
ふみふみ用の布を一枚決めておく
ふみふみ自体は止めなくてよい行動なので、思いきり踏める場所を用意しておくと、人も猫も過ごしやすくなります。お気に入りの寝床に、ふみふみ用の布を一枚置いておくのがおすすめです。
布を選ぶときは、くわえて吸うくせがあるかどうかで考え方が変わります。
吸うくせがない猫なら、肌ざわりのよいフリースや厚手のブランケットで十分です。洗い替えがあると、においが強くなりすぎず清潔に保てます。
くわえて吸うくせがある猫には、毛足が長いものやニット、ウール素材のものは避けたほうが無難です。端がほつれやすい布や、飾りのフリンジ、ボタンが付いたものも、噛みちぎって飲み込む原因になります。
ふみふみ用の布は、週に一度ほど広げて点検してみてください。穴があいている、端がほどけている、噛んで小さくちぎれた跡がある、といった傷みが見つかったら、そのまま使わず取り替えます。
脱いだセーターや毛布を出しっぱなしにしない工夫も大切です。洗濯物はふた付きのかごに入れる、クローゼットは閉めておくなど、猫が届かない場所に片づけておきましょう。
ひとり遊びの時間が長い猫なら、狩りのように追いかける遊びを1日に何回か短く取り入れると、退屈から布をしゃぶる時間を減らす助けになります。おもちゃのひもの扱いは100均の猫おもちゃの選び方の記事も参考にしてください。
動物病院で相談するときにメモしておきたいこと
布をしゃぶる、ふみふみの様子が変わったといった相談では、家での様子がいちばんの手がかりになります。受診の前に、次の点を書きとめておくと話がスムーズです。
- いつごろから始まったか、きっかけになりそうな出来事
- 1日にどのくらい、どんな場面でしているか
- しゃぶったり噛んだりしている物の種類と、なくなっている部分があるか
- 食欲、吐いた回数、便の様子
- ふみふみしている様子のスマートフォン動画
動画は診察室では見られない様子を伝えるのに役立ちます。1分ほどの短いもので十分です。
ふみふみは、猫がくつろいでいるときに見せてくれる、子猫のころから続くしぐさです。止めるより、安心して踏める布と、飲み込みの心配がない環境を整えるほうに目を向けてみてください。
寝る前にそばへ来て甘える猫との過ごし方は猫が寝る前に急に甘えてくる理由に、ほかの困りごとは猫の困った行動の原因と対策にまとめています。
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参考にした情報
- 猫がふみふみするのはなぜ?理由と意味を徹底解説|日本ヒルズ・コルゲート
- 猫がふみふみするのはなぜ?理由と意味を解説|cosmos-ac.com(動物病院のコラム)
- Why Do Cats Knead?|PetMD(獣医師執筆)
- 猫のウールサッキングって何?危険なの?対策はある?|アニコム損保 猫との暮らし大百科(獣医師監修)
- 猫のウールサッキング|布をしゃぶる原因と対策を獣医師が解説(トラまりも)
- Ingestion of Foreign Bodies in Cats|VCA Animal Hospitals
- What To Do if Your Cat Has Eaten String|PetMD(獣医師執筆)

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